(画像引用元:https://aibo.sony.jp/store/)

みんな~!新型aiboが!お家に!来るよ!

2017年11月11日、「ワンワンワンワンの日」にソニー株式会社が犬型ペットロボット”aibo”を発表しました。今回発売されたaiboは、1999年に同社が初めて発売した初代ペットロボットである”AIBO”の進化版という位置付けにあります。初代AIBOは販売開始当初から爆発的な人気を誇り一大ブームとなりましたが、事業としての維持が困難になり2006年に販売終了、2012年には公式の製品サポートも終了しました。それでも一部のエンジニアたちが非公式でその後も修理を続けるなど、根強く愛され続けました。

時は流れ2017年11月。新たに発表された次世代のaiboは、非常に犬らしいデザインや動きを特徴とするペットロボットとして誕生しました。クラウドサービスとの連携により、「飼い主」の好みを学習しながらより飼い主好みのペットへと日々進化していくのが大きな魅力です。初回購入予約は開始から30分で完売、2回目の予約も15分で完売と非常に前評判が高く、多くの人が販売開始を待ち望んでいたことが伺えます。(公式ホームページはこちら

そして2018年(戌年!)1月11日、ついに販売開始!品川にあるソニー本社では手渡しでaiboが受け取れる販売開始記念イベントも行われ、大変な盛況ぶりだったようです。

 

aibo、とにかく可愛い!初代AIBOと較べると、愛らしさや犬らしさが段違いですよね。

(画像引用元:https://twitter.com/SonySquareSP/status/952103100369776641)

 

(画像引用元:https://twitter.com/SonySquareSP/status/952046147870212096)

 

公式ホームページの作りもとてもオシャレで、TwitterやInstagramなどSNSもとにかく写真映えする!ソニーの気合の入りようが伺えます。

ワンちゃんマジラブ100%の筆者藤坂は「aiboがいる生活というのは、これからの”憧れの暮らし”のひとつの形になるのかな」なんて思いながらホームページをスクロールしていたのですが、ふと「どうしてaiboはこんなに生き物っぽく進化したんだろう?」と疑問を覚えました。そこから「そもそも、どうしてロボットを生き物に寄せる必要があるのか?」「この先、人とロボットはどうやって共存していくんだろう?」と、さまざまな疑問が湧き出てきたため、さっそく現在某電機メーカーでロボットやAIの開発をしている友人のYさんを捕まえ、aiboを中心としてAIやロボットについてお話を伺ってきました。新型aiboの魅力から、「どうして人はロボットを必要とするの?」というちょっと抽象的な議論まで、いろいろお話をしてきましたよ~。

前編であるこの記事では、次世代aiboと初代AIBOの違い、そして、「犬らしさ」を突き詰めたコミュニケーションロボットの価値についてお伝えします。

 

Yさん:東京大学大学院のロボット系の研究室出身。現在も国内メーカーでロボット製品の開発に携わる。

藤坂:Lab-On編集部所属。Yさんと同期のド文系。機械モノは好きだけどまったく得意ではない。犬に目がない。

 

藤坂(以下藤):というわけでYさん、今日はよろしくお願いします!

Yさん:よろしくね~。顔と名前が出るのは恥ずかしいので、手元だけお楽しみください(笑)。俺はもともとガジェットとかロボットがすごく好きで、大学院ではロボットの研究や作品作りをしていました。もちろん、初代AIBOも今回のaiboも実機を触ってチェック済みです。その視点から話せることを話すね。

 

早速aiboを描きはじめるYさん

AIBOは「ロボット」、aiboは「犬」

藤:まず、aiboって初代のAIBOと違って小文字表記だよね。丸っこくて可愛いイメージ。

Yさん:そうそう、今回発売された子は小文字の”aibo”で、初代は大文字で”AIBO”。これね、けっこう大事。AIBOの発売をリアルタイムで知っている人たちからしたら、今回のaiboは「復活」という意味合いが強い。AIBOもaiboと同様に「人と触れ合うロボット」として売り出されて、当時はそれがめちゃくちゃ革新的だった。なぜなら、今みたいにコミュニケーションロボットが発達している時代じゃなかったから。

けれど、今回発表されたaiboは、初代のAIBOとは少し立ち位置が異なってるみたい。AIBOはあくまでも「ロボット」であって、「犬」としては売り出していない。犬のような見た目と動作なんだけど、ソニーとしては「これをどう解釈するかはあなたの自由です」としていたみたいだね。確かに犬っぽいとは言え、AIBOはだいぶ角張ってていかにも「ロボット感のある」見た目になっている。

(画像引用元:http://www.sony-aibo.com/aibo-models/sony-aibo-ers110/)

藤:たしかに、小さい子とかは「ほーら、わんわんのロボットを買ってきたぞ~」ってお父さんが取り出したのがあのAIBOだったら「え……?わ、わんわん……?」ってなりそう(笑)。

Yさん:そうそう(笑)。一方今回発表されたaiboは、技術が進歩してロボットの制御やAIが「犬らしさ」を表現するのに十分になったから、「これは犬と呼んでもいいだろう」ってことで「犬」というコンセプトを全面に押し出してるとのこと。aiboは全身に計22個のアクチュエーター(*1)を入れていて、尻尾なんかもね、すごく可愛く振るんだよ……もうね……最高だよね……。可愛いのももちろんだし、メカとしてここまでのクオリティのモノを作れるっていうのは本当に技術の進歩を感じる。

 

(画像引用元:https://aibo.sony.jp/feature/feature1.html)

藤:メロメロだね(笑)。発表された当時から気になっていたのだけど、そもそもどうして今回の2代目aiboはこんなに「犬っぽさ」を追求しようと考えたんだろう?だって極端な話、ペットの癒やしがほしいなら犬を飼えば良いわけだし、犬が無理だったとしてももっと手のかからないペットを飼えばいいんじゃないかな、と思って。ロボットをここまで生き物っぽく寄せる意義について教えてほしい。

Yさん:良い質問だね。そう、癒やしがほしいだけならたしかにペットを飼えばいい。特に今回のaiboが刺さるんじゃないかなって俺が予想しているのは、「一人暮らし且つペットを飼う余裕はない人」。たとえばお年寄りとか、バリバリ働いてほとんど家に帰ってこない若い人とかね。

ゼロ距離でユーザーを見守る「歩く可愛いスマホ+α」

Yさん: aibo、かわいいよね〜。

藤:わかる。

Yさん:今回のaiboは、旧AIBOに較べて、人の生活に馴染みやすいデザインになっているよね。角を取って丸くしてあるのは、ここ数年のコミュニケーションロボットの特徴でもある。家にいるaiboが「クーン」って鳴きながら寄ってきたら誰だってちょっとは気になるし、「おおよしよし」ってなるよね。話しかけたり、撫でたりさ。これが狙いなんですよ。

藤:どういうこと?

Yさん:発表されているスペックを見る限り、aiboの中身は実質スマートホンとほとんど一緒で、aiboはいわばネットワークに繋がったスマートプロダクトだと思う。歩く可愛いスマホ+α、そしていろんなセンサーがついてる。生活に馴染むから、人とaiboの間に距離がほとんどない。「ゼロ距離」でユーザーのそばにいられて、必要に応じて自律移動もできるというのが、aiboの真の強みだなって感じる。

想像しやすい例を挙げると、今後aiboを「さりげない見守り」として活用できそう。iポットっていう製品があって、発想はそれと同じなんだけど。たとえば、遠く離れた場所に住むおばあちゃんに子ども孫一家の家族がaiboをプレゼントする。aiboとおばあちゃんが触れ合った記録がクラウドに蓄積されていく。で、おばあちゃんが3日以上aiboと触れ合わなかったら家族に家族が飼っているaiboを通じて通知がいくようにする、とかね。わざわざ電話でコミュニケーションをとらなくても「無事にいつも通りの生活をしている」という情報が伝わるし、異変があったら家族のaiboが知らせてくれる。これがもしただの味気ない機械だったら、そのうち電池が切れたまま放置されてしまうだろうけど、aiboならそんなことはない。だって「犬」だからね。おばあちゃんの生活にも家族の生活にも自然と馴染めるからこそ、「敢えて連絡をする」という手間と心理的負担を省いてくれる。まだ公式ではどんな活用法があるかは明言されていないけれど、今後アプリがどんどん増えていったら、そういう未来も来るんじゃないかなと思う。

藤:「ロボットがより生き物っぽくなることのメリットってなんだろう?」って思ってたけど、生活に馴染みやすいというのは、これからのコミュニケーションロボット全般において重要な鍵になりそう。「生き物のリアルさを追求したロボット」っていう概念自体は以前からあったけれど、技術がそれを本当に可能にしつつあるのはまさに今だし、今後どんな活用法が生まれるかはこれから需要が少しずつ見つかっていくんだろうな。

「みんなのペット」の距離感が最高。されどロボットはどこへ向かう?

Yさん:これ、オフィスにaiboが放し飼いになっていたら、っていうCMなんだけど。すっごくうらやましくない?

 

藤:楽しそう。失敗して凹んでるときとか慰められたい。

Yさん:自分の会社でも aiboを放し飼いにしたいね。仕事をする場に「ちょうどいい距離感のペット」がいるのってすごく心地いいんじゃないかなあって思う。

藤:家族以外の人との共有空間にペットがいるって、すごく不思議な感じがするね。たまに、どこかのお店で飼っている犬とか猫がお店の「看板娘」みたいになっていることってあるけど、あれって実際かなり集客とか働く人の精神的な余裕に関係してそうだなって思う。

Yさん:「みんなで飼っているペット」くらいの距離感でロボットが共有空間に存在する、しかも可愛い、って、けっこう革新的だと思う。今まで「オフィスにペットロボットが欲しい」なんて考えたことなかったけど、さっき藤坂が言っていたように「生き物とロボットの間の何か」の需要は、実際にこれからaiboみたいな存在が生活のなかに入ってくることで考えられていくんだろうなって思う。

藤:技術水準が上がってロボットがどんどん「生き物っぽさ」を増していくなかで、当然ここ数年で発表されたロボットの中には、かなり人に近いようなロボットもたくさん出てきたよね。そこで2つ目の疑問なんだけど、わたしは個人的により人間っぽい、より生き物っぽいロボットに対して「ちょっと怖いな」って直感的に感じることが多くて、あれってなんでなんだろうね。不気味じゃない?

Yさん:そうだね。確かに、それこそaiboも可愛いけれどあれを「リアルすぎるゆえに気持ち悪い」と感じる人は一定数いると思う。

特に人間の形に近づけたロボットのことを「ヒューマノイド」って言うんだ。有名どころではペッパーくんとか、あとテレビで話題になってマツコロイドもヒューマノイド。そしたら今から、「生き物とロボット」っていう軸で色々議論してみよう。

 

後編に続く(1月31日公開予定)

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