狙い目は「先輩の少ない分野」―AidemyCEOが語る「今、AIプログラミングを学べばトップに立てる理由」とは

近年、「AI」や「機械学習」といった言葉は急速に普及しつつあります。その内実について、AI などの最先端技術に関連するプログラミングを WEB ブラウザ上で学べる学習サービス『Aidemy(アイデミー)』を提供するアイデミー株式会社の石川聡彦氏はこう語りました。

「今後AIのニーズは絶対に高まりますが、現状ではAIを活用できる人材が全く足りていません。情報系が専門の方は勿論、それ以外の専門を持つ人も、今AIプログラミングを本気で学べば、先輩の数が少ないので日本のトップに立てるはずです」

今回は、日本のAI開発のリーディングカンパニーを目指す株式会社アイデミーCEOの石川聡彦さんに、AIプログラミングと、2月24日発売予定の『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』に関するお話を伺いました。

 

多様なバックグラウンドを持つ人にとって「実践しやすい環境」を作りたい

 

――AIプログラミングが学べるAidemyというサービスは、具体的にどのようなサービスなのでしょうか?

WEBブラウザがあれば、AIプログラミングのトレーニングを10秒で始められるサービスです。現在はPythonをはじめとした14種類のコースを無料で提供しています。AIプログラミングは難しそうと思われがちですが、とにかく手を動かして始めてみればその面白さがわかるはずだと思い、手軽に始められることを何より重視しました。加えて、実践的な手法によりコミットできるよう、ディープラーニングによる画像認識や自然言語処理によるテキストの分類など、機械学習を使ってひとつのタスクがクリアできる教材を豊富に揃えました。詳しくはぜひホームページを覗いてみてください。専門外の方でも低コストで手軽に始められる、ということを意識してサービスを作っています。

 

――AIプログラミングに従事しているのはどういった方々なのでしょうか?

AIプログラミングが活用される場は主に3種類の分野があると考えます。ひとつは専門性の高い研究領域の分野。ここには、博士課程や研究の道に進んで、AIやデータサイエンスそのものを研究する方たちが含まれます。次に、システムエンジニアやプロダクトマネージャーのような、マネジメント側が理解すべき分野。AIプロジェクトを考えて、それを実行していく方たちですね。最後に、機械学習やAI技術の応用エンジニア。既存のAI技術を様々な分野にアプライし、どのように問題を解決するかを考えて実装する方たちを指します。この3種類で僕たちが特にフォーカスしているのは、機械学習やAIを応用するエンジニアたちです。昨年11月、米スタンフォード大でマシンラーニングの授業をしているアンドリュー先生は「AIや機械学習に関する知見は現状でかなり出揃ってきた。これからはそれを応用する時代だ」とおっしゃっていました。僕も同意見で、特にAIに関する最先端の研究は既に競争が激しくレッドオーシャンであると感じます。しかし、技術を様々なプロダクトに反映させていくエンジニアは、今の日本ではまだまだ全く足りていません。AIプログラミングに関わる上で、2018年において最も価値を発揮できるのは、機械学習のアルゴリズムやライブラリを使って、自らのオリジナルデータで独自の学習済みモデルを作れることだと思います。

 

――現在Aidemyはどのような層が受講していますか?

情報系出身のエンジニア、情報系以外を専門とする理系の方、文系層で1:1:1ですね。情報系出身でない方からするとAIプログラミングを学ぶことはハードルが高いと思われがちですが、そうした心理的なハードルを下げるために、Aidemyを利用してもらうのが良いと思います。

 

――今後石川さんはAidemyで何を実現したいと考えていますか?

今はトレーニングに特化していますが、今後はAidemy受講生と僕たちで、AIを用いたプロダクトを作ることも考えています。AIプログラミングのトレーニングだけでなく、AIを使える人材を採用して、AIを用いたプロダクト製作をし、そのプロダクトをありとあらゆる企業や人に提供する―このような一連のチャネルの垂直統合が僕たちの成し遂げたいことです。

先述の通り、AIエンジニアは今全く足りていませんが、各方面で需要が非常に高く、プロジェクトが受けきれていません。そのため今の日本では、AIプログラミングを用いて新しいことに挑戦しようとしても、限られた企業のみしかそれが叶わない状態となっています。しかし世界を見渡すと、大小問わず多くの企業で機械学習やシステムによる自動化が始まっています。このままでは日本のAIプログラミング技術はガラパゴス化し、選ばれた企業や人々にしか届かなくなってしまうでしょう。そこでAidemyでは、機械学習エンジニアを増やして「Aidemyに相談すれば、AIを使えるエンジニアがいる状態」を作ろうとしています。スピード感を持って人材を提供し、かつプロダクトの製作まで垂直統合で請け負えるようになることで、より多くの企業や人にAIプログラミングを開いていきたいですね。

 

機械学習以外で強みを持つ人こそ、AIプログラミングを

 

 

――AIプログラミングやAidemyのサービスを特にどのような人たちに勧めたいと考えますか?

現在、AIや機械学習以外の分野でエンジニアをしている人に特にオススメしたいですね。なぜならば、今後こうした技術を使いこなせるようになれば、仕事の幅が何倍にも広がるからです。たとえばフロントエンジニアやゲーム系エンジニアなど、既にエンジニアとしての下地をある程度持っていれば、既存のプロダクトに対してAIをどう応用すれば課題解決や売上向上に繋がるか、直感的にアタリをつけられると思います。こうしてプラスαでAIや機械学習を用いた提案ができるエンジニアが増えれば、AIの導入は劇的に進むと思います。

 

――これからの時代において、AIプログラミングはどのような場面で必要とされるでしょうか?

この先、Web上では機械学習によるレコメンドが勝負のカギとなると思います。大量の情報が毎日猛スピードで流れている今、全ての情報を把握するのは不可能です。そのため、「個別最適化されたコンテンツを適切なタイミングで届ける」という流れが今後のエンジニアリングの主流になっていくはずです。そのときに必要なのが、これまで蓄積させたデータに基づいたエンジニアリング、つまりAIプログラミングです。この領域を自分の強みにできれば、時代の流れに適応した価値の高いエンジニアになれると思います。

 

――現在機械学習の技術が浸透していない分野で、「ここに刺したら面白くなりそう」という心当たりのある分野はありますか?

かなり多いと思います。そういった意味ではむしろ、情報系以外の専門を持っている方が今後バリューを発揮できるのではないでしょうか。たとえば医学系の例だと、これまで医師の目視によって行っていたガンの画像診断が、機械学習で自動化できるようになりつつあります。人の目で判断していたものが自動化されるインパクトは大きいですよね。

自動化という文脈で考えると、製造業にも大きな変革をもたされるはずです。今、製造業のラインは人力で回している部分が多く残っていますが、不良品検知なども今後間違いなく自動化されるでしょうね。これらは今思いついただけですが、現場の課題や非効率な部分にどう機械学習が応用できるか、その専門に従事している方が探せばどんどん見つかるはずです。

先輩が少ない技術を学べば、日本のトップに立つチャンスを掴める

――機械学習を学ぶこともしかりですが、専門性を持つ人が「社会で自分の技術を活かす」ことを考えるときに、どのような視点が重要だと考えますか?

ポイントは2つあると思います。ひとつは、専門分野外でトレンド感があり、その技術が今後伸びていくと確信できて、かつ先輩の少ない領域を学ぶこと。先輩が少ない分野ならば、本気で数年学べば業界の第一人者になれるはずです。たとえば、いま注目されている人工知能技術「ディープラーニング」は、5年前から流行り始めた技術です。5年以上前からディープラーニングをやっていた人はほとんどいないので、本気でやれば世界の上位0.1%の実力を持つことは比較的容易でしょう。しかし反対に、弁護士のような歴史の深い分野で上位0.1%に入るのは至難の業です。20代や30代といった若者世代は新しいことを吸収するのにも適しているので、何かを始めるなら「トレンド感と先輩の少なさ」はぜひ意識するべきだと思います。今なら、人工知能だけでなく、ブロックチェーンや量子コンピュータなども良い選択肢かもしれません。

もうひとつは、トリプルメジャーを目指すこと。よく言われていることですが、トップ10%の領域を3つ作って掛け合わせればトップ0.1%の人材になれます。研究者であれば、ひとつのメジャーは自身の専門分野ですよね。それ以外の2つは自分の興味関心に従って探せばいいと思います。そのひとつの選択肢として、以上の理由から、機械学習はとてもオススメできます。今既に持っている上位10%の専門性を具体的に活かしたいのであれば、これからの時代はトリプルメジャーの掛け合わせでオリジナリティの高い人材になることは必須ではないでしょうか。

――AIが社会を変えうる可能性は、どんなところにあると思いますか?

ひとつは、属人化された技術を属人化しない形で保存できるようになったことです。先ほどのガンの目視発見から自動化への例などがそれに当たります。大量のデータを高速でインプットして、すぐに技術を実践できる。非スペシャリストがスペシャリストの技術を使えるようになる、ということですね。

もうひとつは、非生産的な労働から人間が解放されること。僕、恵方巻き工場で恵方巻きに桜でんぶを乗せるバイトをしていたことがあるんですけど、AIがあれば人力でそんなことをする必要はなくなりますよね(笑)不良品検知なんかも最たる例だと思います。

この2つをヒントに、ある分野の非効率をどう解消できるか、という課題を設定すると、具体的にどうやってAIを人間が使っていけば良いのかが見えてくるはずです。

 

理論より実践が何より楽しい―世界史を学ぶなら、教科書を開く前に海外旅行に行こう

 

――初の著書となった『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』について伺います。前半部分は特に数学初心者向けのコンテンツとなっていますが、なぜこのような本を書かれたのでしょうか?

この本を書く前、エンジニアの方からよく「数学をどこまで勉強したら良いのか」という相談を受けたのがきっかけです。数学がネックで機械学習が始められないというのはとてももったいないですし、数学そのものが敬遠されるような状態を作りたくない、と考えてこの本を書きました。易しい内容の復習から始めて間口を広げることで、出身の分野や数学のレベルを問わず多くの人に機械学習を始めてほしいと願っています。メインはもちろん機械学習に必要なレベルの数学なので、数学や情報系出身ではない理系の方には手応えのある内容だと思います。

機械学習を学ぶには線形代数や微分、統計学の知識などは必須ですが、本屋に並んでいるこうした分野の教科書は、大学数学レベルのものがほとんどを占めています。しかし本当に時間を割くべきは数学ではなく、ライブラリを使ってどうやってデータを扱えばいいか、ということです。機械学習を学ぶ上で「ひとまずこの本の内容を理解できれば数学には困らない」という一つのマイルストーンとして手元に置いてもらえると嬉しいですね。

 

 

――お話を伺っていると、ホームページにも掲げられているとおり、確かに理論より実践を大切にされているように感じました。

僕が実践を大切にしているのは、一言で言えばそれが本当に楽しいからなんです。とりあえずやってみる。どんなに小さな一歩でも、やってみたからこそ見えてくる世界があるんです。その面白さを体感するには、「手軽に始められる」ということが重要です。だから登録後10秒でプログラミングが始められるようにAidemyを作ったし、本もそういった意図で書きました。『学ぶ場』ではなく、『手を動かす場』として、僕たちのサービスやこの本を使ってほしいですね。

世界史を学ぼうと思ったら、僕ならまず教科書を開くより海外旅行に行って現地を体感したい。体験を経てから細かい知識を学んだほうがスムーズに理解しやすいし、記憶にも残りやすいので。AIプログラミングも同じです。まずは触ってその面白さを感じた上で、細かい知識を補っていく。この感覚に共感できる方は、ぜひAidemyのサービスを使ってみてほしいな、と思います!

 

LabBase「ラボベース」は研究内容やスキルを登録しておくだけで、スカウトなどを通して企業とつながれます。さらに、研究生活の困りごとを解決したり、学生間や産学間の交流を促進する機能が追加される予定です。

研究内容に興味を持った企業と、スカウトやアピールを通してつながれるLabBaseの登録はこちら!

関連キーワード
学術の関連記事
  • 電気が無限に使える未来を創る 再エネ普及の鍵「デジタルグリッド」とは(後編)
  • 電気が無限に使える未来を創る 再エネ普及の鍵「デジタルグリッド」とは(前編)
  • 科学者たちは人工合成された馬痘ウイルスのリスクを憂慮し始めている
  • 「理想を追い求めるアカデミア、資本主義の産業界」-「第3回 再生医療産学官連携シンポジウム」でパネル討論会
  • 仮想通貨だけじゃない!「ブロックチェーン」で生活はどう変わる?
  • 先生は「上司」じゃない 〜いい研究室の条件とは〜
おすすめの記事