Webページを見ている時、頻繁に目にするであろう広告バナーやPR動画。訪問先のサイト特有の広告もあれば、過去にチェックしたECサイトの商品をリコメンドされることもある。邪魔なように感じる広告から、一見広告に見えないもの、更にはついついクリックしてしまうほど意匠に富んだ広告までその表現は幅広く、いまやネット業界を下支えする一大産業になっている。

そんなネット広告を支えるのがアドテクノロジーやデジタルマーケティングと呼ばれる領域のIT事業だ。

2013年9月に創業以a来、事業を拡大し続けている株式会社GeeeN(ゲン)でエンジニアとして働く上本さんと市原さんの2人に、アドテクノロジーの面白さを聞いた。

 

<プロフィール>

上本 貴大(うえもと たかひろ)さん

京都大学大学院工学系研究科15卒

専門分野:金属物性

新卒でGeeeNに入社

市原 健太朗(いちはら けんたろう)さん

京都大学工学部15卒

専門分野:高分子物性

中途でGeeeNに入社

編集部:今日は株式会社GeeeN(ゲン)でエンジニアとして働かれている上本さん、市原さんにお話しを伺います。まず大学時代の研究についてお聞かせ下さい。

市原さん:僕は大学院には行かず、学部で卒業後すぐに就職しました。そのため研究は学部4年の一年間だけでしたが、高分子物性の研究室で研究してきました。具体的には、シミュレーションで組み立てた高分子にそれに応力を加えて粘性がどのように変化するかという研究をしていました。

 

上本さん:僕は金属ナノ粒子を電極表面に付与することで電気化学特性がどう変わるかについての研究をしていました。具体的には、金や白金などの電気化学的に特異な特性をしめす金属を、ニッケルや銀などの電極表面に修飾することで、微小量の貴金属粒子から高効率に特性を引き出すことができないか、という研究です。

金属の組み合わせ・粒径・修飾環境によって、特性の変化や発現の度合いに変化が出ることが知られており、私の場合はニッケル電極表面に対しての貴金属の修飾に絞って検討をしていました。

編集部:市原さんは理論系で上本さんは実験系の研究をされていたのですね。お二人とも今のお仕事と研究内容は直接関係していないように感じますが、就活を考え始めたのはいつ頃でしょうか?

市原さん:僕は正直あまり研究が好きではなかったので、就職するか院に行くかで迷いました。結局院に行かないと決めたのが夏頃でしたので、他の就活生よりかなり出遅れたスタートになってしまいました。理系の就職先っぽくないところに行きたいと考えた結果、小売業者で働くことにしました。小売業界の先行きが不安に感じたのと、前職の方で業務をIT化したいという話はしつつ具体的にどうすればいいかわからず、IT系の勉強をして力をつけたいと考えるようになって昨年の秋にGeeeNに転職しました。

上本さん:僕は修士に進みましたが、博士に進むことは考えておらず民間での就職を考えていました。博士でやっていくほど研究に執着はありませんでしたし、民間の方が様々な経験が積めるかなと思って、M1の冬からインターンや説明会に参加し始めました。他社のインターンシップの際にプログラミングに初めて触れ、楽しそうだと思いエンジニア志望で。その中でもGeeeNを選んだのは、広告業界という技術的に今後伸びそうな分野だったこと、少数精鋭だったため、自分に与えられる裁量が多く、適度なプレッシャーの中で仕事を楽しめそうだと思ったからです。

編集部:普段の業務では、主にどのようなことをされていますか?

市原さん:僕は『EFO CUBE』というツールの開発と保守に携わっています。EFOとは「Entry Form Optimization」の略で、入力フォーム最適化のことです。Webサイト上で買い物や会員登録をする際に個人情報を入力する必要がありますが、入力項目が分かりづらかったり入力した後にエラーが出たりして諦めた経験ありませんか?このように途中でサイトから離れることを途中離脱というのですが、EFO対策をすることで途中離脱を少なくしフォームの完了率を上げることができます。

上本さん:ABテストツールの『Butterfly』の開発を行なっています。ABテストはデジタルマーケティングでよく使われる実験で、同じページを異なる幾つかのパターンで表示させ、ユーザーの行動を比較することで最適なページに近づけることができます。主に管理画面全体を担当していますが、3~4人での開発ですので、幅広く全体に触れています。

編集部:いわゆるアドテクやデジタルマーケティングといった言葉は沢山目にします。この領域の面白さはどういったところにありますか?

市原さん:アドテクノロジーが取り沙汰される以前の広告は、不特定多数の人に満遍なく見てもらえる広告が主流でした。誰が見ているかわからず、その効果も定かではないという欠点を内包していました。ところがリスティング広告をはじめとするインターネット広告では、特定の分野に興味のある人を対象に広告を出稿できます。そうすることで広告をだす人は費用を抑えられ、見る人は自分の興味のある分野で新しい商品を知る機会が得られます。「どうやって必要とする人にだけ広告を届けるか」。課題はまだまだ多いものの、やりがいのある領域だと思います。

編集部:今のお仕事のやりがいを教えてください。

市原さん:転職して間もなく、技術的にはまだまだ未熟なのですが毎日何かしらの学びがあるのがとても楽しいです。試行錯誤した結果、自分が書いたコードの通りに動いてくれたら嬉しいですし、上手く動かなければそこが自分の伸びしろだとわかるので日々精進と言った感じです。この春からは新入社員が入ってくるので、自分が通った道をよりよくして知識を吸収して早く一人前になりたいと思います。

上本さん:エンジニアはお客様と直接接する機会は多くはないものの、使っていただいている方から「この機能が良かった」と言われるのが嬉しいですし、やりがいを感じる部分でもあります。どうすればもっと使いやすい機能になるのかと模索している瞬間がパズルを解いているみたいで楽しくもあります。

編集部:最後に、理系学生にむけてアドバイスがあればお願いします。

上本さん:就職活動は社会人としての一歩でとても重要な決断の場だと思います。ただ、これほど自分に向き合って悩む機会はあまりないと思いますので、しっかり楽しんでもらえればと思います。

市原さん:研究した知識が直接役に立つというより、プロセスが役に立つことの方が多いと思います。なので研究したことがすぐに仕事に結び付けられなくても、研究した課程で身につけた思考プロセスを生かせればいいのかなと思います。