理系学生にとって身近な選択肢である大学院進学。
学問分野に対する理解を深め、専門性を身につけるには学部の4年間だけでは短いというのが通説で、修士課程に進学すると2年間、博士課程に進むとさらに3年間を研究に費やします。

生活の大半の時間を研究に捧げる分、博士課程に進む学生の多くは研究が好きだったり、自身の研究を通して新たな知見を広げたいという思いを少なからず持っています。

しかし博士号をとることが、必ずしも研究者として食べていくことを意味するわけではありません。アカデミアには残らず、自身の確立した専門分野を武器としながら、全く違う分野に飛び込み活躍する人に話を聞いていきます。今回はAWSで働く中山洋平さんに話を聞きました。

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中山洋平さん

京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了。学部時代は太陽電池の研究を、修士博士課程では宇宙プラズマの研究を行い、博士課程在籍中にはNASAで半年間研究をしていた。博士課程終了後はアマゾンウェブサービスジャパン株式会社に就職。現在は技術支援本部でクラウドサポートアソシエイトとして顧客がシステムを使う上でのサポートやトラブルシューティングを行っている。

家電好きが高じて進んだ電気電子工学科

ーー中山さんは高校卒業後、京都大学に入学し工学部電気電子工学科に進まれました。なぜ電気電子工学科を選んだのですか?

もともと家電が好きだったんです。電機屋めぐりも勿論好きですし、電機メーカーで働いてた父親の影響もあって。なので学科で迷うことはありませんでした。

4回生の時に研究室配属があるのですが、希望していた電力系の研究室に行きました。卒論は太陽電池の充電に関するテーマで、太陽電池の電力効率が下がってしまうのをどうしたら抑えられるか
という実験をしていました。

ーーもともとは実験系の研究室にいらっしゃったのですね。

そうですね、もともとは実験系で、その後の大学院進学で宇宙工学系の研究室に移りました。電気に関することではあるのですがシミュレーションを主にやっていました。

ーー研究室を移ったのはどのような動機からですか?

実験を4回生でやっててある程度自信はついたというか、実験がどういう作業なのか、どう結果を出して論文を出すかという行程は把握できたので、次はパソコンを使ってのシミュレーションを勉強したいと思い研究室を移りました。

ーー学部4年生の時にそこまで前のめりなのはすごいですね!院進ってなんとなくで進んでしまう人が多いというか、私がそうだったので驚きです。

知らないものを知りたいとか、弱点をなくしたいという思いは強くありましたね。

ーー宇宙工学を選んだ理由は?

院試の時点で博士課程までいこうと思っていたので5年後面白いものは何かなと思って宇宙を選びました。5年で宇宙工学もさらに成長して、みんなが宇宙って言ってる時代になればいいなと。卒業して就職するにしても楽しい就職先がある、アカデミックに残るにしても分野として盛り上がってるところをと考えて宇宙工学を選びました。

就職願望が強いからこそ博士課程に進んだ


博士課程に進む学生の多くは、2パターンに大別される。ひとつは修士に進んで研究が楽しくなって博士課程まで進むというパターン。もう一つは、早い段階から研究者を目指しており、一般的な就活をはなから考えないパターンだ。

しかし、中山さんはそのいずれでもなく、むしろ就職意欲が強かったという。

ーー先程のお話で、修士課程へ進む際の院試の時点ですでに博士課程に進むことを考えていたとのことでした。なぜ学部の段階から博士課程に進みたいと思っていたのですか?

僕はもともと就職願望がすごく強くて、3回生の時からインターンは積極的にやってましたし、学士で卒業して就職してもいいかなと初めは思っていました。しかしインターンを通して、このままじゃ並の人間になるなというか、他の人と同じような人間になると気がついたんです。他の人とは違う、尖った部分がほしいと思い専門性を高めることにしました。

ーーなるほど、そこで5年間学ぶ決意をされたのですね!具体的にはどのような研究内容だったのですか?

人工衛星に悪影響を与える宇宙プラズマと言うものがあるのですが、それがどこで発生してどこで悪さをしているのか、人工衛星の観測データなどを用いてシミュレーションをしていました。

ーー実際にシミュレーションをやってみてどうでしたか?
初めてやることが多くて、僕はすごく楽しかったです。一切プログラムをかけない状態から書けるようになったおかげで、見えていなかったものが見えるようになり世界が広がったと思います。

NASAでの研究生活

ーーとはいえ博士課程の5年って結構長いかなと思うのですが、飽きたりしませんでしたか?

5年間の間で色々と変化はあったので、飽きることはなかったですね!特別研究員になれたり、博士課程の2年生ではジョンズ・ホプキンス大学と NASAのGoddard Space Flight Centerで半年間過ごしたりと様々な刺激的な経験ができました。

ーーNASAですか?すごい、、!

院に進学した時点で、5年間のどこかで研究留学するというのは決めていました。なので教授にも前もって海外に行きたいという希望を伝えていましたし、そのために研究で成果を出せるように頑張っていました。

ーー頻繁に学会も?

海外の学会にはよく行っていました。学部時代で英語ディスカッションの団体に入っていたので、その頃に培った英語力が活かされましたし、今の仕事でも役立ってます。外資系企業ということもあり一般的な企業よりは英語に触れる機会が多いので。

ーーNASAでの研究生活についてお聞かせ下さい。NASAにいた頃って専用の寮とか社宅に住んでたのですか?

いえ、僕は自分で家を探して借りました。一応向こうの先生方も手伝ってはくれるのですが、基本は全部自分で手配して、あと車も借りて。郊外にあったので車がないと厳しいんです。

ーー日々の研究生活はどのような感じでしたか?

普通の研究室と変わらないですね。毎朝10時に行って、大体19時くらいまでいたかな。でも19時までいるのは珍しいくらいだと思います。

ーーホワイトですね(笑)

めっちゃホワイトですよ、NASA(笑)。中に託児所とかの施設もあって子供を迎えに行って来ると行ってオフィスに子供を連れてくる人もいました。結果さえ出していれば何も言われませんし。

ーー土日はお休みですか?

ええ、基本開いていないので(笑)

ーー特に印象深かったイベントは?

アメリカに赴任して一週間で、ニューホライズンズという衛星が冥王星に一番近づくというイベントがあったんですが、それを運営してたのがジョンズ・ホプキンス大学だったんです。そのお祝いイベントが赴任してすぐにあって、テレビクルーやメディアも沢山来て、僕らは会場内に入れたので中で国旗を振ったりしてました。アメリカと日本で研究成果の見せ方が全然違うなと感じました。完全にパーティーで、壇上ではプロジェクトリーダーが抱き合って、感動的な絵でしたね。アメリカ式のお祝いを見れて、モチベーションが上がりました。

ーー日本とアメリカで研究してみて、どのようなところに違いを感じましたか?

働き方がまず自由なところですね。あと仕事の進め方に関しても、態度とか問わずにミーティングのごとに成果が出せているかというところが評価対象だったので、評価基準がわかりやすかったですね。

ーー日本だと研究室にいることが重視されるところもあるような気がします(笑)

そうですね、いればいるほど可愛がられるみたいなのありますよね(笑)アメリカは部屋がかなり細かく別れていて、見渡して誰が来てる来てないが分かる感じではなかったですね。

「技術力が高い人と働きたい」AWSへ就職を決めたわけ

ーー半年間のNASAでの研究を終えたあとは日本に戻って引き続き研究をされたのですか?

12月末に帰ってきて、それがD2の終盤でしたね。なので帰ってきてから本格的に就職活動をはじめました。

ーー就活するか、アカデミアに残るかで迷わなかったですか?

3回生のころから就職は念頭にありました。やっと世界のスタンダードって言えるかなと思えるほど一つの分野で達成できたので、次は就職をして自分のスペシャリティを活かしていきたいと考えました。

ーー周りの教授から引き止められたりしませんでした?

「アカデミアに残らないの?」と結構言われたので残りたい気持ちも芽生えたのですが、自分の当初の意志は硬く、研究だけではなくビジネスを通して社会と関わりたかったので就職を選びました。

ーー就職は宇宙系のところは考えなかったのですか?

宇宙系の事業をやっている企業も見に行きました。最近宇宙系のスタートアップも結構盛り上がってますし魅力的だったのですが、結局自分がどれだけ成長できるか、ということを考えたらITでかなり成長している企業の方がいいなと思いました。
宇宙分野でシミュレーションとかそういうシステム作るのと、ITの分野でプログラムを作るのは似てる部分が多いので、ITでしっかり技術を磨きたいなと。

ーーAmazonで宇宙に、なんて野望もあったり?

あ、結構ありますね(笑)それはもう、Amazonでも宇宙事業始まってるので、たとえばNASAでもコンテンツ配信はAWSを使ってたり色々サービスを展開しているので、その渦の中に入っていきたいですね。

社内のボルダリングスペース。AWSジャパン及びアマゾンジャパンの社員の交流の場となっている。

ーーAWSの一番の決め手はなんでしたか?

宇宙業界から少し変えてITの業界を選んだからにはその分野で第一線で活躍している人がいるところに行きたいと思った結果AWSがいいなと思いました。あとはアメリカから帰ってから就活し始めたのもあって、裁量を与えられる働き方がいいなと思いAWSに魅かれました。

ーー現在はどのようなお仕事をされていますか?

現在はクラウドサポートアソシエイトとして働いているので、AWSを使う上で技術的に困ってることがあればそれをお手伝いするような形ですね。エンジニアの人からの問い合わせに応じて、問題を深掘りして解決に導く過程で色んな技術を学べる部署なので日々成長ややりがいを感じることが出来ますね。

ーー最後に理系学生に向けてアドバイスがあれば教えてください

僕もそうだったんですが、違う分野の研究をせっかくしてたのにIT分野に行くのはどうなんだろうと感じる人もいると思います。でも絶対何処かでつながってる部分があるので、今大きな流れとなっている情報学についての技術力を高めたいならあまり怖がらず、期待を持って飛び込んでくれればと思います。

アマゾンウェブサービスジャパン株式会社では、2019 年 3 月卒業の学生を対象にインターンシップが開催される。

募集職種はソリューションアーキテクト(締切:2017 年 7 月 14 日(金))とクラウドサポートエンジニア(第 1 回:2017 年 7 月 28 日(金)/第 2 回:2017 年 8 月 11 日(金))の2種。
なお、定員に達した場合は期日前に締切となるため早めの応募がオススメです!

応募はこちらから→https://aws.amazon.com/jp/careers/newgraduate/internship/

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