理系の大学院への進学を目指す場合、大学在学中に推薦試験や一般試験をパスした上で学士号を得て、学部生の間に大学院入試を受験し、合格すると修士課程に進学することができます。修士課程では主に研究を行い、成果を修士論文としてまとめることで、修士という学位を取得できます。この仕組みが高校卒業から、大学院修了までの通常フローです。

私は高校生の頃、文系コースに所属していました。しかし、中学生の頃に出会った製薬会社の研究者に対する憧れが忘れられず、どうしても「白衣を着て仕事がしたい」という想いを叶えるため、3年制生物系の専門学校に進学しました。その後大学院へ進学し、現在は「*クラミドモナスが重力を感じるメカニズム」の研究を行っています。大学院に入学する前は、最終学歴が「専門士」であることにコンプレックスを感じていましたが、今では出身校にとらわれることなく、充実した研究生活を送っています。そこで今回は、専門学校卒業後にストレートで大学院に入学した、私の体験談をお話します。進路に悩める専門学生の皆さまの参考になれば、嬉しい限りです。

*クラミドモナス:藻類の一種

本記事はあくまでも個人の経験に基づいて書かれており、専門学校から大学院への進学を積極的に薦めるものではありませんが、数学と英語と理科の偏差値が45しかなくても、そこに行動力の偏差値を足すことで大学院への進学を叶えられる、ということを、進路に悩む多くの専門生に伝えたいと思います。

【専門学校からどのような経緯を経て大学院に進学するのか?】

専門学校から大学院という道のりは決してメジャーではありませんが、適切な手順さえ踏めば実現が可能です。私は、以下のような経緯を経て大学院に進学しました。

 

① 高校卒業後、自身が研究をしたい分野の専門学校に進学します。学校を選ぶ際、その専門学校の就職先に大学の技術補佐員があるところを探すのが良いでしょう。なぜなら、技術補佐員を雇えるのは、その大学にお金がある証拠だからです。研究活動にはとにかくお金がかかります。なるべく研究費を獲得しやすい大学に進学できると、その後の自分の研究生活がとても楽になります。

 

②専門学校進学後は、とにかく勉強を怠らないことが重要です。研究能力を磨きながら、大学のインターンシップにチャレンジしてみましょう。私は東大の農学系研究室で1年間インターンをして、メダカの味蕾細胞に特異的な発現を誘導する発現制御領域に関する卒業研究を行いました。

 

③ 全国の大学院一覧から、、学士号が不要である代わりに学士の認定試験が受けられるところを探しましょう。その中で自身が進学したい大学院をじっくり選んでください。

 

④ インターンシップで実験や研究のノウハウを吸収しつつ、大学院入試に向けて受験勉強を進めます。

 

⑤ 技術補佐員として自分を雇用してくれる大学に就職し、実験や研究を積極的に行いましょう。また、可能であればこの機会にできるだけ多くの学会発表を経験してください。。学会発表は学士の認定試験時に点数として加味されるからです。

 

⑥ 入学資格審査を受けて、学士と同等の学力である事を証明します。

 

⑦ 大学院入試を受験し、念願の進学を果たします。

当時所属していた東大のラボでは、専門学校からイン進学への前例がなかったので、教授や准教授の先生方に進学の相談をしても、あまり熱心に相談に乗ってくれる人はなかなか見つかりませんでした。

しかし、最終的にラボを統括している教授から理解を得られたことと、課外活動などを通して、農学部の友人ができたことで、万全な受験対策で試験に臨めました。良き理解者と良き仲間たちに出会うことは、心の支えとしてだけでなく受験そのものを有利に進めていく上でも非常に重要です。以上の経験から、私は自信を持って「専門卒から大学院を目指すのは決して不可能ではない」と言えます。

現在卒業後の進路に悩んでいる専門生の皆さんは、このような人生の選択肢もあるということを頭の片隅に置いていただけたら嬉しく思います。