日々の研究に勤しむ理系学生のみなさんこんにちは!*Code for Japanの大西翔太(北陸先端大学・修士2年)です。突然ですが、みなさんは自分の持つ技術が社会にどう役立つか、想像したことはありますか?研究で身につけたスキルを活かせるのは研究室の中だけではありません。今回は、研究を通して身につけたスキルや専門的な知識を活かす場として「Civic Tech(シビックテック)」をご紹介しましょう。
*Code for Japan:市民が主体となって自分たちの街の課題を技術で解決するコミュニティ作り支援や、自治体への民間人材派遣などの事業に取り組む非営利団体。Code for (地域名)として各地域、各街で活動が行われている。

シビックテックとは?

シビックテックとは、一言で言うと市民が自分たちの抱える問題を、テクノロジーを活用して自分たちの力で解決することです。シビックテックは2000年代にアメリカではじまりました。当初は、ITなどのテクノロジーを活用した行政の効率化に主眼が置かれていたものの、次第に地域の課題の解決や資源の共有など、広い概念を指すようになり、いまや世界中でムーブメントを起こしつつあります。

これまで、まちづくりや生活インフラに関わる地域サービスの主な作り手は行政であり、私たち市民はサービスの「受け手」でした。しかし近年、技術の進歩や普及、行政の持つデータがオープンになる「オープンデータ」の高まりなどにより、地域サービスの作り手が「民間」に移りつつあります。
 
シビックテックはそうした動きの中、市民が抱える課題を市民が持つスキルで解決してしまおうという、いわば「社会にパッチを当てる」活動です。ここでいう「市民」には私たち理系院生も勿論含まれており、とりわけ研究で培った高度なスキルを持つ私たちはシビックテックにとって不可欠な存在です。また、シビックテックに参加すれば地域でのプロジェクトを主体的に進めていくことになるため、学生のうちに「企画力」「折衝力」「開発力」を身につけ、大きく成長することができます。
 
実際にシビックテックのフィールドで自らの持つ技術を生かして活躍し、成長している理系院生の例を紹介します。
 

いろんな視点から街を見る!奈良先端大学・松田さんのお話


松田裕貴さん 
所属; 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 ユビキタスコンピューティングシステム研究室
学年: 博士後期課程2年
研究:ユーザ参加型都市センシング、ウェアラブルコンピューティング等、モバイル・ユビキタスコンピューティングに関する研究に従事

ーーシビックテックに関わり始めたきっかけを教えてください

jig.jp (福井県鯖江市のIT企業)のインターンシップに参加しているときに、Code for SABAE の活動を知り、オープンデータに関するアプリを開発したのが始まりです。その後、明石工業高等専門学校の様々な情報のオープンデータ化やアプリ開発に取り組みました。奈良先端大に進学した後、開発していたユーザ参加型センシングシステム(ParmoSense)をきっかけに、Code for IKOMA と連携を始め、自身もメンバーとして参加するようになりました。 

ーーシビックテックの取り組みに参加するのはなぜですか?

私がシビックテックに関わり続ける理由は大きく2つあります。まず、学校や企業といった枠組みから飛び出し、私達が住んでいる街で技術面や運用面などで挑戦をすることができることです。次に街に住む人の必要とするアプリやデータに関わることができるため、実際に一般の人に自分の作成したものを使ってもらえるのがわくわくするからです。

ーー関わってみて、自分自身が変わったと感じる点はありますか?

一般の人に使ってもらうことでフィードバックをもらうことができ、アプリのUI設計や開発に関するノウハウを獲得することができました。また街の人と繋がることで、いろんな視点から街を見ることができるようになりました。
 
ーーまだ参加していない理系学生に向けてメッセージをお願いします

「技術力や知識に自信がないから」と足踏みしている人も多いかもしれません。シビックテックに取り組んでいる人たちには様々なスキルを持った人がいて、それぞれ自分の強みを活かして活動に参加しています。臆せず、積極的に挑戦してみてください!

小さな課題でも解決したい!奈良先端大学・河中祥吾さんのお話

河中祥吾さん
所属:奈良先端科学技術大学院大学 ユビキタスコンピューティングシステム研究室
学年:修士2年
研究:参加型センシング・モバイルセンシングによる環境情報の収集に関する研究に従事

ーーシビックテックに関わり始めたきっかけを教えてください

研究活動の一環としてCode for Ikoma の街歩きイベントで松田さんと共に開発しているアプリを使ってもらったのが始まりです。その後、生駒市主催の生駒シビックテックアワード2016で給食のアレルギー事故防止をコンセプトにiOSアプリ「4919 for Ikoma」を作成しました。

ーーシビックテックの取り組みに参加するのはなぜですか?

自分たちが作っているサービスやアプリのフィードバックが身近に得られて学びが多いからです。また、色んな人に出会えることも楽しみの一つです。
 
ーー関わってみて、自分自身が変わったと感じる点はありますか?

まず、シビックテックに関わることでデータや情報の価値を見出すことができました。さらに、自分の能力が学外でも評価されるとわかり、自信がつきました。また、様々なコンテストや発表などにも積極的に参加するようになりました。
 
ーー まだ参加していない理系学生に向けてメッセージをお願いします

身の回りの問題は、たとえ小さな課題でもみんなが抱えている問題であれば解決するに越したことはないと思っています。情報の力で市民の問題を変えられる可能性があるのです。シビックテックに携わっている人達はシビックテックに親しんでもらうためのサポートもしているので、まだ参加していない人は一歩踏み出す勇気を持ってほしいです。年々日本中にCode forの団体が増えているので、シビックテックの入り口として自分の住んでいる地域・近くの地域のCode forに参加してみて下さい!

終わりに

私たち理系院生の多くは普段研究に取り組む中で「自分の研究が社会の役に立っている」と実感できることがとても少ないと思います。シビックテックは「地域」という多様な環境の中で、自分の持つ技術が社会にどう役立つのかを知り、自分のスキルで地域をより良くする「成功体験」を得る貴重なチャンスです。
 
もしこの記事を読んでシビックテックに興味がわいたら、ぜひ9月23.24日に神戸で開催される「Code for Japan Summit」に参加してみてください。両日とも学生セッションを用意しています。詳しくはこちらのfacebookページをご覧ください。私たちの手で社会を変えましょう!