機械学習を用いたサービスが雨後の筍のごとく次々と出現するいま、機械学習の教育やコンサルティングでひときわ注目を集めている企業がある。その名も「株式会社キカガク」。2017年1月に立ち上がったばかりだが、既に日本マイクロソフト社・Preferred Networks社からデータサイエンティストの唯一の公認トレーニング企業として認定されている。今回は株式会社キカガクを設立した吉崎亮介さんに、AI教育が必要な理由を語っていただいた。

吉﨑 亮介 (よしざき りょうすけ)さん

舞鶴工業高等専門学校本科・専攻科を卒業後、京都大学大学院へ進学。大学院ではプロセス工学の研究に従事し、修士2年次には化学工学における世界最高峰の国際学会ADCHEMにて最優秀若手研究賞を受賞した。大学院を卒業後、ITベンチャー企業でのR&D部門の立ち上げを経て、会社内の仲間3人で起業を決意し、株式会社Caratを設立した。「キカガク」はこのCaratの一事業として吉崎氏が発足。キカガクで行う教育に可能性を感じ、株式会社キカガクとして独立した。

ベンチャー企業への就職 そして起業家の道へ

――国際学会で最優秀若手研究賞を受賞するなど、研究でも大きな業績をあげてこられたと伺いました。なぜ博士課程へ進学せずに、ベンチャー企業への就職を決められたのでしょうか?

 もちろん博士課程で研究するという選択肢も自分の中ではありました。ただし、現実問題として3年間も大変な研究をする上、20代後半で遅れて就職する不安を感じていました。そのため、研究で仮説検証力をある程度身につけた修士の段階で就職をし、ビジネスセンスを磨く方が自分には合っているなと思いました。色々な事業やビジネスを経験したいという想いがあり、様々な業務に手広く携わることができそうなベンチャー企業を選択しました。ただし、大手かベンチャーかという分け方ではなく、その就職した会社の理念や事業が好きで入社を決めたため、魅力を感じた会社がたまたまベンチャーであった、というべきかもしれません。

――なぜ株式会社キカガクを設立しようと思われたのでしょうか?

 AI技術の教育は社会的なニーズが年々高まっているにも関わらず、それを教えられる人材が稀であるからです。最近はテック系の企業に限らず様々な企業でAIの導入が急がれています。このような状況下で、AIを学びたい人と教えられる人のバランスがまったく保たれていないように感じたため、とにかく「教える人材を育てたい」というモチベーションのもと設立しました。

――AIを大学で学んでいる人はたくさんいますが、教える人が少ないのはなぜでしょうか。

 それは、ほとんどの人がデータ解析のプレイヤーになるか、大学に残るという進路のどちらかを選択するためです。そのため、大学の外でAIを体系的に学ぶことが難しくなり、企業への導入はスムーズにはいかなくなっています。そこで、情報を整理したり教えることが得意だった自身の強みを活かしてキカガクでは教育事業をメインに行なっています。ちなみに『キカガク』の頭文字が機械学習をサービスに導入するための『PDCA』と対応しています。現場への機械学習の導入は、この『キカガク』の4つすべてが揃って初めて完成と言えます。

株式会社キカガクHPより引用

――なぜ、今後の日本にAI教育が必要なのでしょうか。

 そのご質問には、国単位のマクロな視点と現場単位のミクロな視点の2つから考える必要があると思っています。

 まずマクロな視点から見ると、AIは少子高齢化が進む日本社会において、労働力確保を行うための手段であるためです。現在の日本では若い人々を労働力として多く確保することが難しくなってきており、海外から安い単価で人を採用しています。、しかし、各国の人件費が上昇傾向にある今、このような労働力の確保がこれが今後も続けられるとは限りません。安く、安定的に確保できる労働力という観点から、AIは今後の日本にとって間違いなく必要となるでしょう。これを実現するために、教育は必要不可欠だと思います。

 他方、AIを導入したい企業の現場で今どのようなことが起きているのか。海外ではAIのプロジェクトを推進するとなれば、パフォーマンスの悪いチームは解雇し、プロフェッショナルを外部から一気に雇います。当然、プロフェッショナルのチームには基礎知識の蓄積がありすぐに現実的なAI導入へと取り掛かることができます。それに対し日本では、急に人を辞めさせることが難しいため、社内にいる適性のありそうな人材をピックアップして、寄せ集めのチームを作ります。しかも、ほとんどの人が前の部署の仕事も掛け持ちしている状態です。基礎知識もなく、今までの仕事もこなさないといけない状態のため、腰を据えて学ぶ時間は当然ありません。その結果、成果が出ずに解散するチームも見かけます。この問題を解決するためには、最短・最小限の時間で最大限のアウトプットを出せるようなビジネス目線のAI教育が必要となるでしょう。

――これから社会に出る理系の学生に伝えたいことはありますか?

 最終的に何を成し遂げたいのか、そしてそれがどれだけの人にどのようなインパクトを与えられるのかというゴールを見据えることが大事です。学生は教科書を順にボトムアップ的に学ぶことに慣れており、ゴールから遡って考える力が弱い傾向にあると感じます。「どうすれば会社の売上が上がるか」という命題に向かって取り組むことがビジネスであり、そのためにはトップダウンのアプローチが必要となります。ここで、学生的な視点が抜けないとなかなか苦しみます。理系学生の皆さんの強みは、コツコツと積み重ねた知識や技術の引き出しの多さにあるはずですので、目標から考えて上手く引き出しを使うことができれば、日本のボトムアップ型の教育からでもとても強い人が生まれるのではないかと思います。

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 株式会社キカガク:https://www.kikagaku.co.jp/

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