博士課程からメディカルコピーライターへ!未知の世界へ飛び込む生命科学博士の挑戦【MC&P新卒社員インタビュー】

理系学生にとって、「大学院進学」は進路を考える上で有力な選択肢の一つです。自らの学問分野を極めたい、そう考えて修士課程、博士課程に進みたいという方も多いでしょう。

しかし、悩ましいのはその後のキャリアです。修士修了ならともかく、博士を取った後にはたしてどのような仕事があるのか?おそらくそれは、多くの理系学生が気になっているポイントでもあるでしょう。

今回は、そんな悩みを抱えている理系学生の皆さまに、「メディカルコピーライター」という一つのキャリアのかたちを紹介します。

2017年から新卒でメディカルコピーライターについたMC&Pの舘山幸菜さん(生命科学博士号)にお話を伺ってきました。


舘山幸菜(たてやま ゆきな)さん
東北大学大学院生命科学研究科生命機能科学専攻卒。
生命科学博士号を取得後、新卒でMC&Pに入社。

サイエンスの素養をフルに活かせる「メディカルコピーライター」の仕事とは

ーーまず、メディカルコピーライターの主な仕事について教えてください

メディカルコピーライターは、主に製薬会社向けの販促ツールの企画・提案やMR向けの研修資料などの制作のお手伝いをします。一般的なコピーライターのお仕事と違うところは、ただコピーを考えるだけでなく、論文を読んでその結果をまとめたり、膨大な臨床データの中から結果を編集したりという、専門性の高さが求められるところです。サイエンス、主に製薬・医学に対する高い理解力が求められます。

「研究が面白くなったのは、本格的に解析を行うようになってから」大学院に進学、脳科学の研究に没頭

ーー大学院時代はどのようなご研究を専門になさっていましたか?

分野は生命科学ですが、実際は電気生理学という神経科学の一分野に関する研究をしていました。

脳のなかで起こる電気活動を記録して、解析して、その電気活動によって伝えられた情報と実際にとる行動がどのように結びついているかということを調べていました。私は特に視覚情報が運動という形で、どのようにアウトプットされるかということを実験してたんです。目から入ってきた情報が実際に運動として出力されるまでの流れを追います。

「やりたいことをやろう!」大学院進学を決めた、とある出来事

ーー博士課程まで進まれたとのことですが、学部や修士を卒業された際に就職活動は考えましたか?

学部のときに就活はしていたのですが、ちょうどその真っ只中3.11大震災があったんです。そのとき自分は福島にいて、あまりの揺れに「死ぬかも」と本気で恐怖を覚えました。そのときに「人生いつ終わるかわからない」と感じて、「やりたいことをやろう」と思い立ったのが修士に進んだきっかけです。そのときは就活よりも研究を優先したい気持ちのほうが強かったので。

ーーかなり身に迫ったご経験だったんですね。大学院に進学された後は順調に研究を進められましたか??

最初のうちは研究が上手くいかなかったんです。ただ、ディスカッションしてるうちに楽しくなってきて。研究そのものの面白さをきちんと感じられるようになったのは、本格的に解析を始めるようになってからです。D2の頃ですね。今から2年前くらいでしょうか。

私が所属していた研究室は、実験装置づくりはもちろん、それに伴う工学的な作業も、プログラミングも、全部自分でやる研究室だったんです。

その経験の中で、トライ&エラーをして、解決をして、というプロセスを回せるようになるのが楽しく感じられるようになって、もう少し頑張ってみたいなと思い、研究テーマを再考した上で博士課程に進むことにしました。

ーー振り返ってみて、どのような大学院時代を過ごされていましたか?

研究室は研究範囲が広く、やりたいと思ったことはたいていできました。

教授は分子系、准教授は動物系の専門でその組み合わせも異色ですよね。でも、そのような環境であったからこそ、全く知らない分野を「なんとなく知る」にはとてもいい環境でした。自分の専門分野以外の分野を少しでも知れると、自分の研究が全体の中でどう位置づけられているかがイメージしやすくなりますね。ただ、アカデミックの世界に残ろうと積極的に考えることはできませんでした。まずあいているポストが見当たらなかったし、現実問題として、女性であるからこそ、ライフイベントの年齢や体力の限界が迫ってくることは目に見えていたので。このまま研究者であり続ける自分のビジョンが見えなかったので、就職活動を始めました。

博士向けの就職説明会に広告代理店!?異色の存在に惹かれて

ーー研究がお忙しかったと思いますが、実際にどのように就職活動を進めたのでしょうか?

まずは企業の研究職を考えました。大学にも製薬会社とかの求人が届くので、それを見たりして。ただ、他にも、どんな仕事があるか知りたいと思ったので、東京で開催された博士・ポスドクのための合同説明会に参加しました。

ーーその合同説明会にMC&Pさんが参加されていた?

はい。説明会の最初に、その日に参加する会社の何社かが前に出て1分間のプレゼンをしたんです。その中に一社、「広告代理店をやってます」という会社が出てきて。「え、広告?どうしてここにきたの?」って感じですよね。他はバイオ系などのいわゆる理系をメインで採用する会社ばかりだったので、完全に異色の存在でした。

ブースを見に行ってみて患者さん向けに作っている説明資料を見せてもらい、「こういう資料は製薬会社ではなく広告会社が作っているんだ!」と驚きました。とてもわかりやすい資料で感動しちゃって。

それから「自分が培ってきたサイエンスのスキルって、意外と専門外の人々のためにも使うことができるのでは?」と考えるようになって、それも衝撃的な気づきでした。「正確に、且つわかりやすく伝える」ということは、高い専門性のある人材だからこそできる仕事なのではないかと思いました。メディカルコピーライターという仕事を明確に志すようになったのはそこからですね。

「情報を入れすぎず、わかりやすく簡潔に伝える」メディカルコピーライターとしての半年間を振り返って

ーー入社されて半年以上が経つと思いますが、お仕事の調子はいかがですか?

入って二ヶ月半くらいは、ずっと新薬のプロモーションに関する資料を作成していました。具体的には、新薬の発売に向けて社内のMRさん向けに研修資料を作り、臨床試験のデータをまとめるという仕事をしています。メディカルコピーライターの基礎である業務に慣れることができただけでなく、職場でのコミュニケーションのとり方や仕事の進め方も徐々に分かってきて、良いスタートだと思います。

ーー基本的にはOJTでスキルを付けていくんですか?

はい、クリエイティブ・ディレクター[1]の方がいるので、その方からレクチャー受けながら。

でも最初なので、作った資料には修正をかけられることがほとんどです。どうしても詳しく書きたくなってしまうんですよね。あれこれと情報をつい入れ過ぎてしまう。シンプルに、過不足なく必要な情報を入れるのが意外と難しいんだなって体感しています。

ただ、続けていくうちに感覚は身につくので、まずは手を動かさなきゃという感じです。

ーー今はどのような資料を作っているんですか?

今は、患者さん向けの薬の説明や病気の啓発に関する資料を作っています。イラストを入れる、簡単な言葉で文章を短くするなど、これまで作ってきた資料にに比べると、「わかりやすさ」を優先させなくてはならないぶん難しいですね。冊子なので、レイアウトやサイズの調整など、見栄えも大切になります。そういった全体図を設計しなくてはならないので、アートディレクターのような仕事もしているかもしれません。


[1] コンテンツのコンセプトを生み出し、それを具現化するために方針を決定し、各分野の専門家に仕事の指示をする中心的な人物

「自分の作った資料が病気の啓発につながり、人の役に立つ」メディカルコピーライターの社会的意義とは

ーーメディカルコピーライターに必要な素養は何でしょうか?

担当するお客さんが変わると、勉強する内容も全く変わります。常に新しいことを勉強するのが好きな方には向いているお仕事じゃないでしょうか。新しいことをやりたい、新しいものをつくりたい、新しいアイデアを出したいとか、クリエイティブに考えるのが好きだと良いですね。

あとは、トライ&エラーを楽しめること。「より良くしたい」という思いがあれば、一度否定されても、向上心を持って取り組み続けられる仕事だと思います。ただ、コピーは芸術作品ではないので、クライアントの意見も踏まえ、「今、何が求められているか」を第一に柔軟に取り組む姿勢が求められます。

ーー最後に、メディカルコピーライターの社会的意義について教えてください。

クライアントになる製薬会社を通して、製薬の正しい情報や、病気の啓発ができることではないでしょうか。もちろん、クライアントの売上が上がったという数字としての利益を出せることも嬉しいですが、メディカルコピーライターの魅力はそれだけではないと思います。

 

博士課程から、メディカルコピーライターへ。舘山さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

しかし、わずか半年でも、やりがいや社会的意義を感じられるところに、メディカルコピーライターという職業の可能性があるのではないでしょうか。

自分の専門だけに固執せず、新たな視点で仕事を探すと、素晴らしい職業に出会えることもある。舘山さんのお話をお聞きして、そんなことを思いました。

進路に迷っている方は、参考にしてはいかがでしょうか。

 

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