月3万、完済に15年。その奨学金、本当に借りますか?

大学での勉強や、大学院での研究活動。それは多くの人にとって、非常に当たり前の日常です。当たり前だからこそ見落としてしまうのは、「時間をかけて知を積み重ねるためには、莫大なお金が必要になる」という事実。実際に、毎日大学や研究室に通いながら、その日の自分の学びにいくらのお金がかかっているかを意識する人はほとんどいないでしょう。

学費や生活費に当てるために奨学金を借りる人は珍しくありません。政府の資料によれば、平成28年度に日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を貸与されたのは132万人近く。奨学金には、返済が必要な「貸与型」と返済不要の「給付型」があり、JASSO以外にも民間企業や個人の財団など、様々な組織が学生に奨学金を提供しています。

「奨学金」は読んで字のごとく、学びを奨励するためのお金。
しかし、忘れないでください。貸与型奨学金は、まごうとなき「借金」です。

JASSOの大学生向け奨学金は、第一種奨学金(利子なし貸与型)と、第二種奨学金(利子あり貸与型)が用意されています。奨学金という名前ついているため見逃しそうになりますが、利子ありの第二種は学生ローンと呼んでも差し支えないでしょう。

借りられる金額や期間などは奨学金の種類によりさまざまです。JASSOは在学期間中、月に5万円から12万円程度の奨学金を貸与し、そして、就職とともに十数年にわたる返済が始まります。
今回は、国立の理系大学院出身で6年間奨学金を借りていた三宅さん(仮名)に、在学中の奨学金に対する意識や、返済の実態についてお話を伺いました。


三宅文彦さん

年齢 33歳

家族構成 妻と子どもの3人家族

学部・修士の専攻 学部は化学系、修士は分析系

奨学金の詳細 学部時代に第二種(利子あり)で月5万を4年間、修士時代に第一種(利子なし)で月8.8万を2年間

職業 大手メーカー→ベンチャーIT企業へ転職

深く考えずに借りてしまう。だから、怖い。

――奨学金は「借金」という意識がどうしても薄れがちですよね。三宅さんはなぜ奨学金を借り始めたのでしょうか?

三宅さん(以下敬称略):うちは3人兄弟で、父親はサラリーマン、母親は専業主婦。大学に入ってから月に学費が5万、家賃が6万円程度で、毎月11万円のお金が必要になりました。3人兄弟なこともあって、さすがに「全部出してくれ」とは言えなかったんですよね、家庭の財政状況的に。それがきっかけで借り始めました。学部で借りるJASSOの奨学金は、親の収入の審査で第一種か第二種かが決まり、僕の場合は利子ありの第二種になったんです。

修士で借りる際は成績で振り分けられます。幸いにも修士では利子がつかない第一種を借りられたので、「利子がつかないならとりあえず借りて、余った分は貯金しておけばいいだろう」と思って、借りる額を月8.8万円に引き上げました。

――確かに、利子がついていないとなると借りたくなりますね……。しかも理系修士なら「研究に集中したい」という方が多いでしょうし、そのためになるべくアルバイトの時間は減らしたいですよね。

三宅:そうですね。アルバイトも、塾講師や家庭教師など割のいいバイトをやっていました。そっちの収入は月に5〜6万円だったかな。しかし今思えば、修士時代に奨学金で借りる額をもうちょっと少なくしても良かったかも、と思います。

 

――なぜそう思われたのでしょうか?

三宅:若さゆえで徹夜してがむしゃらにバイトをしていたら、もっと返済も楽だったのかなあ、と。あと、一人暮らしの家賃を親に払ってもらっていたので、バイトを頑張っていれば親の負担をもっと減らせたかもしれません。でも、生活のためには目の前にあるお金をどうしても使う必要があって、特に趣味や付き合いが増えると出費も増えざるを得ないんですよね……。

 

――なるほど……。実際、生活があまりにもカツカツだと研究を頑張ろうという意欲も続かなくそうですよね。借りるとき、奨学金を返す構想などは立てていましたか?

三宅:正直なところ、ほとんど考えていなかったです。それに、奨学金を借りるのってやっぱり「今」お金で困っていることが多いから、将来のことまで考える余裕はそこまでなかったかもしれません。

 

――将来のことって言われても、4年以上先の自分がどんな職業に就いているとか、月にいくら稼いでいるなんてなかなかイメージできませんよね。

三宅:借りたときは将来返す実感が持てなかったですね。返済計画も「毎月5万円借りているけど将来返す月々の額はもっと少ない」という漠然とした情報だけ知っていたので、「ならいっか」っていう気持ちで借りていました。

奨学金を返し始めてから初めて知ったんですけど、学部と修士で借りた奨学金って、別の奨学生番号が振られているんです。つまり、学部と修士で借りている奨学金それぞれの返済が、就職してすぐから毎月同時に発生することになる。24歳から毎月3万円弱を返済して、39歳で完済する予定です。

――それは思いがけないですね……!月に3万円ってけっこう大きな出費じゃないですか?

三宅:毎年、1年間で自分が返済した奨学金の額を見て「36万か……海外旅行行けたな……」と思います(笑)

「奨学金」って、怖さを感じさせないネーミングだと思います。だから深く考えずに借りてしまう。でも、よく計算してみると返すのに十数年かかって、完済する頃には40歳手前なんですよ。そこをちゃんと自覚して額を考えておけば、と思ったことは何度もありますね。

人生の設計図はいかに?転職、結婚の壁にぶつかることも

――奨学金の返済がライフプランに影響を及ぼすことはあるのでしょうか?

三宅人によっては転職しづらいかもしれません。返済計画に、ボーナスでの大きな額の返済も組み込んでいると「転職するなら今の職と同じくらいボーナスが貰えるところじゃないと奨学金返済ができない」という事態が起こりかねないんです。

あとは、結婚するときに奨学金を借りていたことを切り出したら妻に渋い顔されましたね。

 

――結婚相手には特に言い出しづらいですよね。

三宅:はい。妻は奨学金を借りた経験がないため、「奨学金=借金」というイメージがかなり強かったみたいで。「こういう計画で頑張って返すから」って説得してOKをもらえました。

僕の家では僕と妻が共働きなので、子どもを持つことに経済的な抵抗などはなかったです。でも、夫婦で奨学金を借りているといった場合は厳しいのかもしれませんね。あとは奨学金の返済に加えてどちらかが専業主婦、もしくは専業主夫志望だとすると、結婚のハードルは上がると思います。

――奨学金を返せるほど安定したお給料がもらえる職に就けるかどうかも究極的にはわからないですし、そう考えると、安易に借りてしまうのはかなりリスキーだなと感じます。

三宅:あと、親が奨学金を借りたことがあるかどうかも大きいと思います。うちは父親が奨学金を借りていたので、自分も借りるときは「借りて返せるもんだ」くらいの気持ちで借り始めました。

でも、学部と修士の支払いが一気に始まるなんて知らなかったし、それが就職をしてからの自分の毎月にどれくらいの影響を及ぼすかもわからなかった。「親が借りていたから自分も借りて大丈夫」と思っている人ほど、きちんと知識を身につけてから借りるべきだと思います。

お金に関する知識が乏しい学生だからこそ、お金の専門家に頼りにいこう

――三宅さんは学部・修士と奨学金を借り、社会人になって返済をしつつ結婚や転職をして……という一連のライフイベントを経験されています。その立場から、今後、奨学金にどのような仕組みを望みますか?

三宅給付型の奨学金が探しやすくなってほしい!そしてもっと種類が増えてほしいです。

奨学金ってほんとうにたくさんの種類があって、自分が給付対象に適合しているかどうかって、詳しく調べないとわからないんですよね例えば「情報系学科で◯◯を専攻している学部X年生限定」とか「卒業後は弊社に勤務すること」といった条件が課されることが多い。

給付型の奨学金が探しやすくなると「応募してみよう」というモチベーションにも繋がりやすくなります。今奨学金を借りようか考えている人は、諦めずにぜひ給付型を探してみてください。返済している身から言うと、「貸与型の奨学金は借りないで済むならなるべく借りないほうがいい」です。

 

――重みのあるお言葉ですね……ほんとうにその通りだと思います。それでも貸与型の奨学金が大多数を占める現状の中で、借りるときに意識すべきことを教えてください。

三宅奨学金を借りるときに、ファイナンシャルプランナーのようなお金の専門家に相談できるといいな、と思います。まだ社会に出ていないから、お金を稼ぐ大変さや具体的な返済計画を具体的に実感できないまま借りてしまう、というのが一番怖い。だから、貸与型への応募を決めたらなるべく早くライフプランナーに相談をして、借りる額をいかにおさえつつ生活を回していくかとか、何歳でいくら返済できるようにするとか、そういった現実的な構想を立てられたらいいと思います。

――具体的な数字が見えると、人生設計そのものが立てやすくなりますね。本日は貴重なお話をありがとうございました!

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