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引用元

世界を揺るがすような革新的な研究やプロジェクトのためには、資金調達が必須であり、そのニーズに応え昨今研究者と研究資金の接点を作ることができるサービスが多く登場している。

しかし、研究資金を巡る問題は研究者だけではなく、資金をいざ提供しようとする資金提供者側にも存在する。いざプロジェクトや研究者に投資したいと思い立っても、今この瞬間どのような研究分野が盛り上がっているのか、将来性があるのかを、研究分野が多様化してきたこの時代に見極めることは大変難しい。有識者とのつながりや研究業界の知識が浅い小規模な資金提供者ならなおさらである。

そんな問題を解決する架け橋となるのが、データベース「Dimensions」だ。

資金提供判断をどのように下す?

世界中には多様な研究領域があり、膨大な数の研究者とプロジェクトが存在している。また、その研究を加速させるための研究費を投資、助成する財団や事業者も数多く存在している。

例えばその1つである、日本学術振興会が主催する科学研究費助成事業(以下科研費)。科研費には毎年10万件以上の研究課題が応募され、その膨大な応募に対しおよそ6000名もの審査員(研究員)が、採用に際し2段階に分けられた厳密な審査をおこなっている。科研費は毎年高倍率の鬼門となっているが、その分審査や吟味に十分な時間も、有識者人材も投資されているのだ。

このように、大規模な団体や企業による研究費助成事業においては、資金面を支援すべき研究課題を吟味できる体制が十分に整っていることが多い。しかし、個人や小規模団体がいざ研究資金を提供しようとしたときに、どのような研究者や研究領域に提供することがもっとも最適か判断することは非常に困難である。なぜならば、小規模な団体はどの研究課題が資金を提供するに値するかを評価できるシステムも持ち合わせていないことや、研究課題を客観的に見定め、資金提供の意思決定にアドバイスできる有識者とのつながりも持てないことが大半だからである。

資金提供への道を示してくれる「Dimensions」

そのような課題を抱える資金提供者をサポートするのが、ÜberResearchが提供するデータベース「Dimensions」である。

「Dimensions」は、6つのデジタルサイエンス企業、100を超える研究機関および資金提供者の協力を得て開発されたデータベースだ。「Dimensions」を利用する資金提供者は、どのような団体がどのような研究課題や研究者に資金提供をしているのかを知ることができる。また、今この瞬間どのような研究分野が伸びていて、そこで何が起きているのかをデータとして見ることができるので、もっとも最適な資金提供における意思決定の有効な参考資料となるだろう。

また、「Dimensions」では資金提供を決定する際に必要な審査を手伝ってくれるレビュワーとのマッチングもできす。「このプロジェクトに興味があるけれど、実際に資金を提供するに値するものかどうかわからない」と考える資金提供者にも、審査に理想的な知識と経験を持つ査読者を導き出すシステムが提供されているのだ。

同サービスは世界中の2,000万人以上の研究者プロフィールを保持しており、NLPと機械学習を使用することにより、自動的に査読者の候補を照合することが可能だ。また、プロジェクトと査読者の関係も加味し、つながりのある組織に所属していないかなど、個人的な利益に立った視点が入る可能性が低い査読者を提案してくれる。

小規模な資金提供者でも最適な資金運用ができるように

研究とそれに関わるデータとの関係の歴史を遡ると、研究分野や資金の情報は個々で管理されていた。つまり、研究者や研究管理者、企業における研究開発や出版社など、研究に携わる人々の間でそれぞれ独自のツールが使われており、それらの繋がりが可視化されることはなかった。

本サービスは研究に関するありとあらゆる情報へのアクセスを可能にし、ステークホルダーの関係性が可視化された。どの研究分野が今盛り上がっているのか、その中でもどの研究者に注目が集まっているのかなど、大規模なデータベースや有識者との強固な繋がりを持つ大規模な資金提供団体しか知り得なかった情報も、「Dimensions」から発見することができるようになった。同サービスをを利用して資金提供に際しての適切なプロセスを経て意思決定ができるようになった小規模な資金提供者は、現在世界中に200団体を超えるという。

ÜberResearchでは、資金調達額が100万ドル以下の小規模な資金提供者に「Dimensions」を無料で提供している。機能は有料版の「Dimensions」と変わらず、先着順で月に5〜10団体がこのサービスを利用できる。

また、実際の利用者同士で、情報を交換しあったりサポートしあったりすることも。個人ではカバーしきれないことや入手しづらい情報など、「Dimensions」を介したコミュニティで解決できることもあるようだ。

よりグローバルな展開に期待

ヨーロッパを中心に「Dimensions」の開発チームや創業者がワークショップ形式やQ&A形式でその機能について説明する機会も多く開催されている。「Dimensions」はまだその認知度は日本では低いが、今後ヨーロッパを中心とした地域の「Dimensions」の利用率の向上が見込まれる。資金提供者に限らず研究者にとってもより良いサービスとなることは十分期待できるだろう。

LabTech海外事例最前線

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