『Mendeley』論文で繋がる研究者のネットワーク〜LabTech海外事例最前線〜

沢山の論文を読み書きする研究熱心な人を必ず一度は悩ませる問題は、文献をどう管理するか。その問題を鮮やかに解決し、さらに他の研究者とネットワーキングまでしてくれるLabTechサービスが『Mendeley』だ。

文献の管理は手間がかかる

論文を読むことと書くことは、研究活動の核心である。研究者は論文と向き合うことに、日々の時間の多くを費やしている。そこで、論文をより効率的に管理することが、生産性を高める上で重要である。

数多くの論文を読んだ時、それらをどう整理するかは悩ましい問題である。大まかな内容や時期で分けるなど様々な整理の仕方が考えられるが、検索性を高くするのは難しい。また、これらの保存・整理などの作業にはかなりの手間がかかる。

加えて、論文を書く際は保存してある論文をもとに、参考文献欄を作成する作業が必須である。しかし、これは負担の大きな作業である。引用したい文献の書誌情報を一つ一つ登録し、投稿する論文誌の採用しているスタイルに合わせて、数多くの文献の情報を間違えずに書き連ねなければならない。

効率的な文献の整理

このような課題に対して有効なサービスが、文献管理ソフト『Mendeley』である。Mendeleyでは学術論文の管理やオンラインでの情報共有をスマートに行うことができる。

Mendeley』は基本的には無料で利用でき、これは類似のサービスと比べた大きな利点である。また、OS環境を問わずに利用できる。Windows, Mac, Linuxのどれにも対応しているデスクトップ版では、オフライン環境での利用も可能だ。

ウェブ版はオンライン環境があればどの端末からもアクセスできる。更にiOS, Android用のアプリもリリースされており、いつでもどこでも文献へのアクセスが可能となり、多様な研究スタイルをサポートする。

論文管理にかかる全ての手間が省ける

Mendeley』の基本的な機能は、論文管理である。手持ちのPDFを、ドラッグ・ドロップするだけで、自動で書誌情報(タイトル、年、ジャーナル、ページなど)を抽出してくれる。検索や並び替え、フォルダ分け、タグ付与等も、すべて直感的で容易にできるようになっている。

この作業の簡単さが、『Mendeley』の強みである。様々な場所に分散しているPDFを1つのフォルダにまとめることもでき、もうフォルダ管理で面倒な思いをすることはない。文献はクラウド上に保存され、様々な端末から同じ文献にアクセスでき、バックアップも不要である。

Mendeley』はPDFビューワ機能も備えており、ハイライトや注釈なども付けることができる。『Mendeley』だけで論文の管理から閲覧まで済ますことができ、目的ごとに様々なアプリケーションを立ち上げる必要がなくなる。

多様な機能を持つMendeleyであるが、その価値がもっとも発揮されるのは、論文執筆の際である。参考文献の自動作成を行うことができるのだ。引用したい論文を選択し、引用のスタイルを指定する(なんと7000種類以上の学術雑誌の引用スタイルに対応している)だけで、Wordへの参考文献欄が完成してしまう。

BibTeX等への出力も簡単にできる。自動化により、手間と間違いを圧倒的に減らせるため、論文の中身などの本質的な部分により多くの労力を割くことができるようになる。

論文で繋がる研究者のネットワーク

Mendeley』は個人の論文管理に留まらず、グループを作成し、PDFの共有などをすることができる。グループ単位での効率的な論文管理により、プロジェクトをより円滑に進めることを可能にする。

さらに、『Mendeley』はソーシャル機能も提供している。個人の成果一覧やプロフィールを公開したり、他のユーザとの情報交換をしたり、読者情報の取得したり、おすすめ論文の情報を得たりと、『Mendeley』を使うことにより、論文を通して研究者同士のネットワークを広げることができる。

日本語論文への対応にも期待

Mendeley』は基本的に英語論文を取り扱うことを前提としている。主に英語論文を扱う理系の研究者にとっては、問題なく使用可能だろう。では、日本語の文献を多く使う研究者はどうしたらよいだろうか。

日本語論文では、自動での書誌情報の読み取りや、日本語フォントの表示など、まだ対応が十分追いついていない点もある。しかし、『Mendeley』を使用する日本人ユーザーは数多く、日本語固有の問題の対処法についても、ウェブ上に様々な記事などを見つけることができる。なので問題の解決策は比較的見つけやすい。

日本では既に研究機関として『Mendeley』を導入している所も増えつつある。今後、日本の『Mendeley』ユーザーがさらに増え、日本語での不便な点も改善されていくことに期待したい。

まとめ

Mendeley』により、論文管理に必要な作業を、直感的で簡単に、素早く終わらせることが可能になる。ネットワーク機能により、研究をより広げることもできる。日々数多くの論文を扱う学生や研究者にとって、導入するメリットは大きい。

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