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Air Miners ~空気に価値を見出す探究者たち~
golden gate bridge san francisco

サンフランシスコのシンボルでもあるゴールデンゲートブリッジ。北側のマリン郡と南のサンフランシスコをつなぐ架け橋となっており、今回お話を伺ったあるベンチャー企業も科学者同士の架け橋を作る活動を行っています。

今熱い米国のサイエンスベンチャー

米国・カリフォルニア州ー19世紀半ばには黄金を求めて人々が押し寄せた、まさにゴールドラッシュの現場となった場所です。21世紀の今日、大気中に含まれる二酸化炭素に価値を見出そうと試みる探究者たちが熱い志とともに集い始めている。彼らは"Air Miners"と呼ばれます。

米国の中で最大の人口を抱えるカリフォルニア州は世界でも有数の経済主要都市であり、数多くの企業が拠点を置いています。現代の潮流の先を行く人々でにぎわうハブ都市であり、そこには大企業だけでなく、多くのベンチャー企業も集積しています。

私がImpossible Labs(インポッシブルラボ)の共同創設者かつCEOであるTito Jankowski(ティト―・ジャンコフスキー)氏と出会ったのは昨年2017年の夏、日本で開催されたサイエンスベンチャーがメインのカンファレンス会場でした。ハワイ出身の笑顔が絶えない方で、その目は好奇心と野心で満ちているかのようにキラキラしていたのが印象的でした。彼は気候変動に関心をもち、その原因のひとつとして問題視されている二酸化炭素に着目。「二酸化炭素の排出削減に力を注ぐ科学者は世界中に数多く存在しますが、大気中に既に存在している二酸化炭素そのものの削減、つまり『マイナスCO₂排出』のアイデアが世の中で機能していない」ことに気が付いたらしい。そんな状況を受け、ついに2016年、彼ともう一人の共同創設者であるMatthew Eshed(マシュー・エシュード)氏によってImpossible Labsが立ち上がりました。以来、マイナスCO₂排気に取り組む世界中のベンチャー企業とともに強力なチームの編成に尽力し続けています。マイナスCO₂排気を目指して日進月歩している彼らのことを「Air Miners」*と呼びます。

(*Air「大気、空気」とMiner「炭鉱作業員」を組み合わせた造語)

eco-system coworking space san francisco

Impossible Labsが利用している共同ワークスペース。さまざまなベンチャー企業をはじめフリーランスのワーカーがフレキシブルに利用できる場所で、人と人との交流が絶えない刺激的な職場であった。

Air Minersの正体とは

"There are a lot of people trying to do something for climate change or negative emission. As a new categoly, we wanted to give a name to them"

「気候変動やマイナスCO₂排出の問題に取り組む人々はたくさんいる。新たなジャンルとして彼らになんらかの名前を付けたかった」

 ー Tito Jankowski

一般的に、多くのベンチャー企業はフレッシュでモチベーションが高く、素早く、かつ消滅しやすいです。それはCO₂問題に取り組む足場となる数々のベンチャーも例外ではなく、これを懸念したJankowski氏は彼らにとって足場となるネットワークの形成を思い立ったそうです。「二酸化炭素問題に取り組むベンチャーたちをひとつのネットワークでつなげて、いわゆる科学者の電話帳のようなものを作りたいと思ったんだ」とJankowski氏は語りました。

現在、80を超えるベンチャー企業やサイエンスグループがAir Minersとして参入しており、その数は今も増え続けています。Impossible Labsが探し出してオファーをかける場合がほとんどですが、自ら率先して参加を申し出てくるグループもいるようです。どちらにしろ、すべてのグループが喜んでAir Minersとして登録しています。Jankowski氏いわく、将来的には千を超えるベンチャーの登録を目指しているそうです。

Tito Jankowski Matthew Eshed Impossible Labs

今回お話しを伺ったImpossible LabsのCEOであるTito Jankowski氏(右)と共同創設者のMatthew Eshed氏(左)。彼らはベンチャー中心の会議やイベントに参加するために全米、世界中を飛び回っています。

ニッチを獲得したマイナスCO₂排出事業

「CO₂事業に関して大きく2種類の市場がありますー『emission(排出)』か『 capture(捕獲)』かです」。Jankowski氏いわく、emissionの市場では、人々がCO₂の排出量の削減をいかに効率的に行うかに着目した技術や製品の提供を目的としています。一方で、capture市場では大気中のCO₂量そのものの削減を目指しCO₂の捕獲あるいは大気から単離した炭素を新たな製品として加工することに尽力しているそうです。Impossible Labsを立ち上げた当時、排出量削減をゴールにしているemission市場は大きいのに対し、誰もcapture市場に目を向けていないことに気づいた彼らは、この市場での先駆者となることに決めたらしい。

現在ではAir Minersのサイエンスチームのそれぞれが独自の技術やアイデアを展開しており、そのバリエーションの豊富さに驚くことでしょう。あるチームはバイオテクノロジ―や化学的アプローチを駆使し、またあるチームはITを利用したアプローチをしています。例としては、米国・カリフォルニア州に拠点を置くMANGO MATERIALS(マンゴーマテリアル)は大気中のCO₂を吸収する微生物を利用して単離した炭素から新素材を作製しています。同じく米国・カリフォルニア州に位置するBlue Planet(ブループラネット)は精製過程を要せずに大気からのCO₂の単離および石灰化を進める技術を開発・展開しています。ところ変わって英国のBioCarbon Engineering(バイオカーボンエンジニアリング)のチームは土地の地形や土壌環境を独自のドローン技術を用いて観測・データ収集を実施し、最適な植林プランニンンやモニタリングを提案しています。

これらはAir Minersの氷山の一角であり、他にもまだまだ豊富なアイデアや技術が世界中に散らばっています。Jankowski氏とEshed氏はそういった科学チームをひとつのネットワークとしてつなげるため日々奔走しています。

Air Minersが目指すゴール

前述した通り、Impossible Labsが目指すのは「air mining」というカーボンテクノロジーの新たなジャンルの確立であり、散在するベンチャーをできるだけ集めひとつの巨大なネットワークを設立することです。さらに自身もバイオテクノロジ―およびバイオケミカルのバックグラウンドをもつ科学者として、大気から単離した炭素を用いたImpossible Labs独自の製品開発も計画中であるそうです。

Impossible Labsの拠点でもある米国・カリフォルニア州は2016年に、CO₂排出量を現在の40%にまで削減し1990年当時と同じレベルにまで抑えようとする取り決めを公表しています。これは果たして可能なのでしょうか。

「全く問題ないでしょう」とJankowski氏。「世界にはたくさんの偉大な科学者たちと素晴らしい技術が存在しています。なので必ずや実現できると信じています。」

Impossible Labs San Francisco

取材の後、チョコレート屋さんでカジュアルなブレインストリーミングを行うなど気さくでお茶目、かつ熱量あふれる人たちでした。

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